書かねば
2月21日、平成28年度の修士論文発表会が終わった。院生として2年、学部生から数えれば3年の研究生活の集大成とも言うべきプレゼンテーションを乗り切り、腑抜けきった僕はここ数日何をしたのかあまり覚えていない。おそらく毎日飲んでいたし今日もこれから飲みに行くつもりである。
起きたのはだいぶ遅かったけれど、飲み会の時間はいつも遅めに設定してあるから時間はまだまだある。だらけきった体に鞭打って、修士論文を仕上げるために行きつけのカフェに向かうのである。
普段は理性とかいう言葉に全身を侵されていて、感傷に浸る事なんて少ない理系院生でも、何かの終わりに近づく時期は、エモーショナルな言葉に敏感に反応できるようになる。
「春の匂いがする。」
先に卒業していった先輩によれば、季節の匂いは一種の脳のバグらしい。温度を感じる脳の領域と嗅覚を司る領域が近いので、季節による温度変化が起こるとその季節特有の匂いがするように感じるという仕組みである。先輩は得意げに語っていたし、なかなかありそうな理屈であるから僕は今もその説を信じている。
とはいえ、感情に理屈をつけるなんてなんともナンセンスな話である。誰かに恋することだって脳のバグといえば納得できるけれど、その説明付になんの意味があろうか。僕は今3年間の研究生活の終わりに、6年の京都での生活の終わりに、18年間の学生生活への終わりに、独特な匂いを感じてエモな気分になっているのは事実であり、多くの説明は要さないはずである。
そういえば今日は題名を「書かねば」にしたんだっけ。書き始めると止まらないのに書き終えると次に書くまで時間がかかるのは僕の性分である。今日はここら辺で止めて、きっとすぐ書き始めよう。
さて、飲み会だ。