ガワラジオ

個人的な出来事の整理用。

勉強を捨てよ。道に坐りこめ。歌を歌え。

「どうして勉強しなきゃいけないの。」

 

約半年ぶりに実家に帰った晩、約1年半ぶりに会った従兄弟の女の子が言う。

 

30年近く教壇に立つ母親に少しばかりの期待をした自分が浅はかだった。彼女はいかにも含蓄をもたせたような口ぶりでこう言う。

 

「勉強しないと高校にも大学にもいけなくてお金を稼げないからよ。今頑張って勉強することは選択肢を沢山広げることになるのよ。」

 

中学2年生の従兄弟は、一定の理解を示したような顔を浮かべて(一定以上の理解を示してないことは明白)頷く。

 

30年間お疲れ様でした。母さん。あなたの思想も幸福観も全て、僕達次世代の革命家には通じないよ。

 

僕達はおそらく勉強した。しまくった。もっと勉強した人はいるはずだが、少なくとも同じ世代の上位数パーセントには入るレベルで勉強した。

 

選択肢なんか広がっちゃいないさ。勉強して勉強しまくって、それでも「幸せになる」という「簡単な事」への道筋さえ見出せず死んで行った京都大学の学生を、彼女たちは見た事が無い。

 

想いを寄せる女にピンクローターをプレゼントしてから学校に来なくなり人知れず死んで行ったA。真面目だったが勉強で大した成果を残せず、女もなく、周りが羨む「素敵な大企業」に就職した後半年後に死んだH。

 

追悼。人一倍勉強して、山の彼方にある幸せを見つける旅路にすら出られなかった彼等を。

 

 

愛する従兄弟よ、兎に角人を愛してくれ。やりたくない勉強なんかするな。愛する音楽を、愛する本を見つけてくれ。愛する友と愛する街の地面の温度を感じて一晩中歌いあかせ。

 

「いい大学」「いい企業」なんてくだらない事の為に小さな幸せの種を殺してはいけないよ。