饒舌な小説家の情熱がどう出るか。つまりドーベルマン。
「青春を定義できた時、青春は終わる。」
物書きは饒舌である。彼らが僕と同じ25歳の時、どこに住み、誰を愛したのか、詳細に書き記されているものである。
僕の人生は素晴らしい。誰にも真似ができない。僕の人生は素晴らしい。目に見える景色全てにしっかりと色が付いている。それなのに、それなのにだよ、饒舌ではない僕の25年は歴史の大波に永久に葬り去られる運命にある。余りにも悲しすぎやしないか。
焦燥。嗚呼どうか僕の歴史を、僕の人生を肯定してくれ。
結婚と出産への焦燥に駆られる同じ25歳の女達。君たちも焦りの根幹は同じなんだろう。結婚と出産という誰も目を背ける事が出来ないマイルストーンによって、君が生きた証を饒舌に語りたいのだろう。
亡びてしまったのは
僕の心であったろうか
亡びてしまったのは
僕の夢であったろうか
(中原中也 昏睡)
僕は23の時、青春をひとまず定義付けた。青春は終わった。あとは薄暗い青に染まる夜を待つのみである。