ガワラジオ

個人的な出来事の整理用。

起業の世代

下書きを書いておいて、結局いつまでも書き上がらないのはニワカブロガーの特徴であろう。

3ヶ月以上前の下書きは以下のようなものである。結局何を思って殴り書いてみたのか定かではない。

 

 

<下書き>

9月二回目の三連休最終日である。11時過ぎに起き、ゆっくりとした時間を過ごして久しぶりに服を買いに隅田川を渡って来たのだったが、スーツの注文に存外に待たされて気付けばもう17時。本日もまた、あまり生産性の無い休日を過ごそうとしている。

 

6時頃起き、朝日の下心地よくまだ冷たい風を感じながらランニング。シャワーを浴びて朝食を作り、お気に入りの音楽を聴きながら食べる。8時からは読書。お腹が空いてきた12時頃外出し、近所にある人の少ないお気に入りのハンバーガーショップで昼食。そこから彼女とお気に入りの服屋を巡り…

 

そんな生活がしたい人生であった。果たして、もう僕にはこんな理想的な生活は無理なのか。夜行性の遺伝子が刻まれてしまったのか。母親よ、愛してやまない愛おしき人よ、あと一つだけ、贅沢な願いが許されるのなら、僕は朝方のDNAが欲しかったのだよ。

 

こんなにも僕が僕自身の生活環境の変革を切望するのに理由が無いわけではない。三連休中日、つまり昨日のことであった。

 

久しぶりに友人Oから連絡があり、上野駅周辺で飲もうという事になった。友人Oとは就職活動中に仲良くなり、共に同じ業界に就職した"戦友"であった。但し、僕は当時既に青春期を終え何かを一途に信じる事が出来なくなっていたものだから、大手総合商社の中でも業界トップのM社に行くことが人生の最大目標とすら捉えていた(少なくとも、僕にはそう見えた。)彼とは"戦友"としてアンバランスさがあったことは追記すべき点である。

 

上野駅を出て南。立飲み屋や赤提灯系飲み屋が並ぶ通りに、僕の行きつけの立飲み屋がある。贔屓の美容師に教えてもらってから、何度か足を運んでいる店である。支払いは前払制。威勢の良い店員が注文を素早く計算し、テーブル上の数千円のプールからとっていく。店員の愛想も悪く、汚い店内。然し、ありたけの小銭を酒に変える感じ。自分が、太宰の葉蔵や、ラスコーリニコフのような無頼漢になり得たような気がして、神経質な僕は些か満足感を覚えるのである。

<下書き 終わり>

 

何が書きたかったのであろうか。今では思い出す術を持たない。唯一の事実は、この友人Oとはもうこれ以来連絡を取っていないことである。

 

Oはその日鼻息を荒くして僕に報告をしてきた。彼は最大手商社の中で最も花形の部署から、自らの手で新規ビジネスの提案を通し、2年目という若手にしてそのビジネスのリーダーに任命されたらしい。Oの鼻息は極めて荒く、「これからは新しいビジネスで年功序列がひっくり返る時代だ。君もさっさとうだつの上がらない部署からでて新しい時代の幕開けに備えたらどうだね。」といった具合にまくし立ててきたのであった。

 

「起業しようぜ。」僕らの世代ではもう聞き飽きた文句である。そして古き会社文化に精神を削りながら闇雲に一流企業に居座るエリート主義者を嘲り笑い(嘲り笑うものもまた、古い体質の企業に居座っているのだが)、会社を辞め事業を立ち上げた同期にこの上ない賛辞を送るのであった。

 

ひと通り話を合わせつつも、闇雲にブログに書き綴ろうとした僕の決して正方向ではない鬱屈とした感情は、僕にはできない一歩を踏み出した友人に向けた嫉妬からくるのであろうか。それとも志無き事業への軽蔑か。かの下書きをどのように締めくくろうとしていたのか僕は思い出せない。しかし今もなお、Oとは連絡を取っていないのであった。