ガワラジオ

個人的な出来事の整理用。

京大式 DEEP THINKING

金が無い。

 

社会人2年目、今年度の給料UPを見込み散財を重ねた結果ボーナス2ヶ月前にして絶望的な金欠に襲われている。

 

将来の収入をアテに稼ぎをほぼ全てエタノールの摂取につぎ込む僕にはGWの4連休を南国で過ごすなんてそんな贅沢は許されていないのである。

 

というわけで久しぶりにおとなしく本を読むことにした。外資系企業に就職した友人がInstagramでお薦めしたのをみて購入、積ん読棚に放り込んでいた本を手に取る。

 

京大式DEEP THINKING

京大式DEEP THINKING

 

京大デザイン学ユニット特定教授。在学中には聞いたことが無い専攻である。然し、「素数ものさし」ときいてぼんやりとイメージが湧く。ああ、素数ものさしの人ね。

 

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「なんで京大に進学しようとしたの?」関東出身の僕はよくこんな質問を受ける。他愛もない会話を推し進める為の効果的な質問一つであろうが、「なんでそんなこと聞くの?」と言いたくなる。ー実際に数回言ったこともある。ー このご時世、世間で言われている程 (世間とは君じゃないか?) 大学間に偏差値以上の特色なんて無いという実感があるからである。大凡京大生の志望理由なんて大したことはなく、関西出身者なら「東大と京大変わらへんし関西の大学の方がおもろそうやろ。」だし、関東出身者なら「東大には行けなかったが頑張って京大に来てみた。」と相場で決まっている。もちろん例外はあるだろうが。

 

然し、就職活動の始まりと共に徐々に、そして就職をして確信を持って、「京大生って少し変わっているかもしれない。」と感じるようになった。思考回路というか、雰囲気というか、怠けものさというか。あくまで感覚レベルの傾向値として。プラスの思考ではなくマイナスの思考(なまけもの思考)。気取ったエリートを軽蔑する野党感。「天気の良い日には授業をサボり鴨川で読書を」そんな肩肘のはらない雰囲気に4年以上浸かってしまえば、嫌でも楠のDNAが体に刷り込まれてしまうのだろうか。

 

巷にあふれる自己啓発本を嫌い、終始鉛筆でメモを取ることを推奨する川上教授には、そんな「京大らしさ」を感じた。

 

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「無駄な飲み会が多すぎて会社をやめたい。上司や客の顔色を伺うのをやめれたら仕事も捗るのに。」そう相談した時、外資系コンサルで働く所謂意識高い系エリートである親友Wの回答は意外だった。「AIが発達すれば素早く正確に分析したりとかっていうハード面のスキルは必要無くなる。そうなれば如何に人とうまく付き合えるかが金になる時代が来るのでは? 付き合いで商売が決まっていた時代とはまた違った形で。」

 

同書のキーワードである不便益はこれからの時代有用でありそうだが生活に落とし込むのは些か難しい。無駄な飲み会で上司のご機嫌を伺うのも「不便益の益」があるかもしれないが、「便益の益」を享受する機会も損失しかねない。川上氏が最後に締めくくっているように、この本は「一つの正解」を指南するハウツー本ではなく、僕の悩みを解決に導いてくれる代物ではない。深く考えることの重要性をもう一度示してくれるにすぎない。

 

川上氏の筆致とともに、お世話になった京大の教授達の厳しくも優しい顔を思い浮かべる。「これから新しく挑戦しようとすれば、誰も正解を教えてくれ無い。甘えるな。」

 

ともかく考え続けることが僕に課せられた使命なのかもしれない。